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『ちょっと!床上手にあんな隅っこに連れ込まれてんじゃないすか!早く動いて下さいよ』
たまりかねて部長と話し込んでる先輩に近づいて耳打ちした。
『分かってるけど!どうしたらいいのよ』
『部長なんか振り切って、あっちに乱入すりゃいいじゃないすか』
『そんなみっともないカミングアウト、余裕の無さ丸出しで逆効果じゃないかしら』
『ああもう!頭でっかちなんだから』
お上品な先輩はこんな下衆な泥仕合をしたことがないに違いない。
てんで頼りにならなかった。
『あーだこーだ言ってる間に篠田君が押し倒されちまいますよ』
『分かってるわよ!だから…だから、私だって何とかしようと』
『亀岡さん、話を続けていいかな?』
先輩がこちらを向いてゴニョゴニョ言ってると、しばらく無視されてた部長が少しイラッとした声で話を戻した。
『えっ?あっ、はい』
『ベトナムの方は君と現地の長田で来期末を目処に立ち上げて欲しい。来週中に詳しい計画を…』
なんで宴会の時に仕事の指示?
うちの部長、普段から頭が固くて困るんだ。欧州部長や米州部長はお茶目なのに。
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