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宴会が終わって皆がガヤガヤと道に流れ出しても、先輩はまだ部長に捕まっていた。
下手するとあのまま部長集団の変な二次会に連れて行かれそうだ。
篠田君の隣にはやっぱり床上手。
でも、何となく床上手の表情が暗いのは気のせいか?
さては床上手め、“あたし気分悪いの戦法”に違いない。
先輩を救出するか。
篠田君を拉致するか。
どっちに突入するか迷った時、篠田君の声がした。
『林部長』
篠田君とうちの部長には仕事上でも飲み会でも今までほとんど接点がなかったから、何となく皆の注意をひいた。
『亀岡先輩をお借りしていいですか?彼女、最近疲れ気味なので今晩は僕たち早めに失礼します』
『あ、ああ。……えっ?』
“僕たち”?
注意半分だった周囲のみんなが一斉に振り向いた。
篠田君の手はさりげなく美紀先輩の腕にかけられている。
どゆこと?
うちの部長以上に美紀先輩と篠田君の組み合わせなんて意外すぎて、周囲の目がまん丸になった。
でも美紀先輩が一番まん丸だったかもしれない。
『あ、それと部長。気が早いんですが…』
美紀先輩を連れて立ち去りかけた篠田君が振り向いた。
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