第五章  修羅走る

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 2・  野獣達は、今や半分は自由の身。病院での治療中、と云う事に為ってはいるが、監視は緩い。  自由は、金で幾らでも買えるものらしい。  平田の銀蔵は、「お上の追及も此処までが限界」、と見切った。  最も野獣達の誤解のお陰で仕置きが遣り易くなった、と喜んではいたが。  今井警視の妻だった女の依頼に応える為にも、必ず遣り遂げると誓っている。  「ムショよりも病院も方が、ずっと殺りやすい」、思わず独り言が洩れた。  その為の人選は、既に済ませた。  後は、病棟に潜入させるだけだ。  残るは仁龍会だが、最近のマトリの動きも少し気になる。  マトリのチームは潜入させていた捜査官を一人、すでに殺されている。もう一人の捜査官を助け出しはしたものの、麻薬浸けにされてた。そんな不始末を喰らって、本気で追い始めた。  漏れ聞こえて来た所では、逆潜入まで仁龍会に咬まされたらしい。  報復と言う事なのだろう。今迄よりも激しい捜査を入れて、既に末端組織を幾つか潰している。  仁龍会に打撃をジワジワと与えて、炙り出す気らしい。  銀蔵はその捜査の行方をしっかりと見極めてから、今井の奥さんの仇を打つ積もりだった。  <極道には、極道の仁義がある>  それを必ず教えて遣る、と決めている。  そして銀蔵の極道の誇りは、とても大きい。
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