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……
>あけましておめでとう。
>久しぶりだね西園寺さん。
>これはこれは、君島さんじゃないか。
>今年も宜しく頼むよ。
>そこにいるのは…ご子息の昭一さんか。
>随分と立派になったものだな。
>将来が楽しみだねえ。
アッという間に正月を迎え、
私は今、仁兄様の実家にいる。
毎年恒例、
朱鷺おばあ様の説法を聴くためだ。
それはもう盛大な集まりで、
親戚一同の他に、
各界の著名人も多く参加する。
もちろんウチの父は
朱鷺おばあ様に心酔しているが、
今日に関して言えば、
どちらかというとこの信者の方々と
懇意になるため参加しているらしく。
説法前にこうして
挨拶合戦となるのである。
何故か私は毎年同行させられ、
そして必ずと言っていいほど放置される。
なので、取り敢えず許婚殿に挨拶し、
その後は自由行動と言っても良い。
許婚殿もどうやら忙しいらしく、
『明日の食事会でゆっくり話そう』
とだけ言い残して去って行った。
退屈なので、
仁兄様とは離れて座っているという、
婚約者を見て来ようと思い、後方へ。
コッソリとその真後ろに腰を下ろすと、
仁兄様の弟の内縁の妻・アキラさんと、
仁兄様の婚約者との会話が聞こえてくる。
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