485人が本棚に入れています
本棚に追加
それを勝手に壊したことに怯えており。
そんなことをして、
お父様に叱られるのは私なのだ。
仁兄様はそれを気遣っているらしく、
急に私を責めるフリをした。
ああ、どんなときでも
仁兄様は私の味方なのですね。
>エロ女
>このボケ!
そんな罵声を浴びせられながらも、
その奥底には深い愛情を感じる。
仁兄様、大好きですよ。
でも、やっぱりちょっと妬けます…。
それから数時間後。
反省した私はトワコさんの部屋に突撃し、
先程の非礼を詫びようと思ったのだが、
なぜか話はどんどん逸れ。
その場にいたアキラさんから、
『処女のくせに』的なことを言われる。
マ、マズイ。
官能作家が処女だなどと、
そんな噂が広まっては困る。
慌てて私はナカダ氏に電話した。
いや正直に言おう、
理由なんかどうでもイイ。
…単に会いたかったのだ。
彼の実家は隣県で、
正月は里帰りするという情報も得ていた。
適当に理由をつけて、
強引に呼び出したかったのである。
だってもう私に残された時間は少ない。
あと数カ月で結婚させられてしまうから。
とにかく会いたい。
スグに会いたい。
そんな衝動を抑えつつ、私は電話した。
最初のコメントを投稿しよう!