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「あっ!…あっあっ!」
「えっ?」
聞きなれない男子の声に振り向こうとしたその時、
ガシャンッ!
私はアスファルトに倒れこんでた。
一瞬何が起きたのか分からなかった。
顔を上げたとき、中学生と目が合った。
「………」
中ボーは私の顔を見ると、大慌てで自分の自転車を立て直した。
「…あ…」
私が声をかける間もないまま、何も言わずにそのままチャリでダッシュしてしまった。
(ちょっとぉ……)
私は一人で道路に倒れたまま、しばし呆然としてしまった。
「大丈夫ですか?」
通りすがりの女子大生っぽい女の人が声をかけてくれる。
投げ捨ててたカバンも取ってきてくれた。
「あ、…すみません」
ハっとして立ち上がる。
(痛いーーーー!)
右足を着くと、泣きそうにすっごく痛む。
「大丈夫?」
再度声をかけてくれ、心配そうに私の顔を覗き込む女性。
「大丈夫です。すみません。どうも……」
無理に笑顔を作って、私は軽くお辞儀をした。
女性は駅の方へ、私は自宅へと向かう。
一人で歩き出したとき、さっき足を思い切りチャリで踏まれたことに気付く。
両手も擦り剥けていて、カバンをどっちの手で持っても痛い。
私は歩道の端、コンクリートの壁によっかかるみたいにしてノロノロと歩いた。
(あの中ボー、今度会ったらブっ殺す…)
かなりムカつきながら、私は痛みに耐えて歩いた。
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