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「僕、子供の頃に田舎に住んでいたんです。山に行って川で遊んでいると、サンショウウオの卵を見つけて、それを家の庭で飼うことにしたんですよ。安物の虫かごを水槽代わりにして卵を入れておくと、一斉に孵化して水槽の底が見えないくらいにサンショウウオだらけになったんです」
「想像するだけでも気持ち悪いわ」ロメ郎は身震いしていた。
「でも結局飽きてきちゃって、餌を与えることすらも忘れるくらいに飽きちゃったんです。ある日、親に庭から変な臭いがすると言われて、恐る恐る水槽の中を覗き込んだんです。最後に餌を与えたのがいつだったかも思い出せないくらい前なんですよ。ドロドロに溶けて悪臭を放つサンショウウオの死骸が詰まった水槽の中で、一匹だけいたんです」
「生き残っていたんだ」ロメ郎は険しい顔だった。
「はい。一匹だけです。かなり大きく育っていました」
「そいつはどうしたの?」
「気持ち悪くなって、下水道に捨てました。死骸と一緒に」
「おいおい・・・・・・」
「やっぱり共食いって、どんな生き物であっても、傍から見ていて気持ちのいいものじゃないですよね」
「まあね・・・・・・それでさ、このままの状態がもしも続いたなら、いずれ俺とシモン君は、戦うことになると思うよ」
「でしょうね」僕は自分の足を見ていた。
「それはどうしても避けたいんだ。悪いけど俺と戦っても勝ち目はないよ」
「どうしろと? 加工場に行ってほしいとか言わないですよね?」
「無理を承知で来たんだ」
「あんなところで生活するのは無理ですよ。床で寝ていたら耳の中にウジ虫が入ってくるから、耳栓しないといけないらしいじゃないですか。4階で男にケツを掘られている方がマシですよ」
「どうしても無理か?」ロメ郎は寂しそうだった。
「無理です。もしも対戦することになったら、僕の頭を吹き飛ばしてくれて結構ですよ。何も悔いはないです」
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