4章

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 ロメ郎の予想は現実のものとなった。  翌日、港に連絡船が入ってくることはなかった。  900人近くに減っていたカニバ達は1階に集まって、緊急の集会を開いた。  食事の量を減らし、ディナーショーで戦う人数も減らしていくという意見と、思い切って島を脱出しようという強硬な意見に分かれていた。 「誰かが豪華客船でも用意するのか?」名も無きカニバが、やけくそ気味に言い放つ。 「問題はサメだろ? あいつらさえいなければ、泳いで帰ることも可能だよ。だけどサメだって俺達同様に腹が空いてるはずだ。ここはもうチキンレースだろ。俺達が共食いして消滅するか、サメが共食いして消滅するかの」  僕は他人の意見に耳を傾けながら、子供の頃に見たサンショウウオのことを思い出していた。サメもカニバも消滅なんてしない。  どうしようもないくらいに生命力の強い奴が、最後まで生き残るようになっているのだ。
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