4章

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 日を追うごとに、屈強でギラついた目つきのカニバばかりになっていった。華奢な連中は胃袋の中で消化され、残されたカニバの糧になっていった。  そしていよいよ、僕とロメ郎が戦う日が訪れたのだった。  2人の番号が読み上げられると、周囲のカニバ達は一斉に拍手をした。戦いたくない男ランキングの上位にいる2人が互いに殺し合うのだ。こんな嬉しいことはないのだろう。 「ついにこの日が来たね」ロメ郎は複雑な表情を作っていた。 「来ましたね。待ちくたびれましたよ」僕は今までの戦いで手に入れた戦利品のナイフをベルトに挟んでいたが、あえて一番最初のバールを使うことにした。  ロメ郎の戦いは無観客が原則だ。流れ弾に当たらないようにするために、みんな揃って他の部屋で一時待機するのは、ずっと変わらないルールだ。銃声が聞こえたら、終わりの合図だった。  僕とロメ郎は共に檻の中に入った。誰もいない静まり返った1階の闘技場で、互いに顔を見合わせて、しばらくの間、ただ黙っていた。  分厚いドアの向こう側でカニバ達は銃声が聞こえるのを心待ちにしていることだろう。  しかし彼らはその音を一生聞くことはない。
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