2章

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 模試終了後、僕はロメ郎と肩を並べてコーヒーショップに向かっていた。 「会員同士が一緒に歩いている所をカーニバルの関係者に見られたらマズくないですか?」僕は周囲を警戒しながら小声で質問していた。 「平気、平気。さっきも言ったけど、会員同士で素性を詮索してはいけないというルールがあるけど、あれは会員の中には社会でそれなりの地位に就いている人がいたりするから、彼らを守るために大げさに言ってるだけで、俺達みたいな若造には本来関係無いんだ」 「なるほど」 「それにさ、素性を探られることを極端に嫌う人は、居住エリアから遠く離れた場所のカーニバルに参加してるよ。俺達は近所のカーニバルに参加したから、こうやってバッティングしてしまったんだ」  結局のところ、カニバはみんな手探りの状態なのだ。今はルール作りの過渡期にあると思っていい。ロメ郎は先輩ぶっているが、カニバになったのはみんな同じ時期だ。僕は浪人生であるために、スタートが若干遅れたにすぎない。一卵性双生児の兄と弟くらいの違いしかないのだ。
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