2章

10/33

26人が本棚に入れています
本棚に追加
/110ページ
「今までに、何人くらい殺した?」ロメ郎はコーヒーをすすりながら囁いた。 「まだゼロです」 「そっか・・・・・・俺は昨日の男で3人目だ。カーニバルに所属する前に2人殺したんだ。後始末が大変でさ、そういう部分ではやっぱりカーニバルは便利だよ」 「失敗したら殺されますけどね・・・・・・」 「それが怖いなら抜けたほうがいいよ。別に誰も気にしないよ。カーニバルから脱会する方法は知ってるよね? 死体を用意する順番が回ってきた時に、自分が用意した死体の肉に一切手を付けずに帰ることだ。単純だけど、これが難しい」ロメ郎は店の入口から客が入ってくる度に、それを目で追いかけながら、僕と喋っていた。 「ちょっとビビってます」僕は正直に打ち明けた。 「初めてならしょうがないよ。俺が協力してあげるから安心しな」 「・・・・・・ありがとうございます」心強いが不安だった。信用していいのかまだ判らない。 「カニバはお互いに殺し合って、いずれこの世から消えていく悲しい宿命を背負っているんだよ」と、喫煙所でロメ郎の口から飛び出した言葉が、僕の中で消化不良をおこしていた。  全てがロメ郎の作戦であるかもしれないのだ。慣れないカーニバルの会員を油断させてから殺すという結婚詐欺師みたいな作戦なら目も当てられない。  コーヒーをすすりながら、ロメ郎から教えてもらった自殺サイトで標的を探すことにした。  ロメ郎も自分の携帯で一緒になって探していた。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加