2章

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「なに泣いてんだよ。お前らだってあの公衆便所で相当数の男を犯して、殺してきたんだろ?」ロメ郎はシャワーから湯を出して、小便を洗い流すと、さっそく無精髭の耳を削ぎ落とした。  男が目を充血させながら頭を左右に振ると、滴り落ちた血が水と混ざりあってピンク色になった。背中合わせのタトゥー男は、すぐ真後ろで突然始まった解体ショーを、自分の足元に流れてくる血の量で想像するしかなかった。  ロメ郎は怯えきったタトゥー男の様子を面白そうに眺め、わざとその視界に入るように、解体した体の一部を次々と放り投げていた。最終的には生温かい内臓をタトゥー男の首からぶら下げ、何重にも巻いた。  背中に感じていた人肌の温もりが徐々に冷たくなっていくと、タトゥー男は心の安全装置が作動し、現実を受け入れなくなっていた。面白いくらいに体は震え、目は虚ろになり、微笑むようになっていた。 「ちょっとやりすぎたかな?」ロメ郎は男の顔を覗き込んだ。
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