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翌朝、目覚めた時、気分は最悪だった。二日酔いで頭が痛く、ソファーで寝ていたために、首も寝違えていた。ロメ郎は先に起きてテレビゲームをしていた。
「やっと起きたか。もうすぐ昼だぞ。とりあえずカーニバルの主催者に電話した方がいいよ。先にシャワーを浴びてもいいけど」
「あ、それじゃあ・・・・・・シャワーにします」
僕は狭い脱衣所で服を脱いで風呂場に入った途端、声を出しそうなくらいに驚いてしまった。バスタブに男がいることを忘れていたのだった。
「そっか・・・・・・そうだった」
男は昨日と同じ姿勢で頭をもたげながら眠っていた。その背中には人間の残骸がへばりつき、バスタブの底が見えなくなるくらいにたまった内臓類が黒く変色し、表面が乾き始めていた。男は糞を漏らしているらしく、僕は軽い吐き気に襲われていた。
最初のうちは片目を開けながら髪を洗っていたが、そのうち面倒臭くなり、気にせず両目をつぶって泡を洗い流し、続けて体を洗った。男は虚ろな眼差しを向けてきたが、命乞いをする気力は尽き果てているみたいだった。
風呂場から出ると、さっそく主催者に電話することにした。教えられたフリーダイヤルに掛けると、若い女性の声で事務的に処理され、拍子抜けしてしまった。
「主催者と電話で直接やり取りするわけではないんですね」電話を切るとロメ郎に話しかけた。
「そんなもんさ。カーニバルは何時からになった?」
「15時です」
「前と一緒だな。それじゃあ1時間前になったら殺そうか」
「はい」
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