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「ロープから下ろすと医者が脈拍、呼吸、瞳孔を調べて、死亡を確認したんだけど、やっぱり体は痙攣したままだったらしい」ロメ郎は神妙な語り口だったが、目は薄っすらと笑っていた。
「そのまま火葬にしたんですかね?」
「医学的には死んでるけど、肉体は活動してるわけで・・・・・・結局今も拘置所に放置しているらしい。お手上げの状態なんだろうな」
「そんな情報を刑務官が外部に漏らしますかね? 僕たちカニバを毛嫌いしている連中が、カニバを怪物に仕立て上げようとして、デタラメな噂を流しているんですよ、それ」
「いや、噂の出どころは刑務官じゃないんだ。暴力沙汰で拘置所に送られた奴が同じ施設内で見たんだってさ。それをネットに公表したってわけ」
「へ?」そんな流言を認めるわけにはいかない。自分たちがモンスターだと容認するようなものだ。
「完全に生き返らないのがこの話のミソだよな。ゾンビになりきれない中途半端なところがカニバの悲しい宿命だよ。一体なんなんだよ、死んでも痙攣してるだけって!」ロメ郎は爆笑していた。
「カニバなのかストレートなのかは、死んだ時にバレてしまうのか・・・・・・」
「家族が火葬に同意しなかったりしてな。うちの子はまだ動いてます!って」
話が盛り上がってる時、玄関のチャイムが鳴った。僕とロメ郎は互いに見つめ合った。
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