2章

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「俺もって、まさか友達殺したんですか?」僕が風呂場から出ようとすると、ロメ郎は僕の足を見て、「血を洗い流してから外に出てくれ」と言った。  予定外だったのだろう。いつも余裕を見せていたロメ郎だったが、今日はすっかり狼狽していた。 「なんで殺したんですか?」 「こいつさ、途中で気づいたんだよ。俺がカニバであることに。あからさまに表情が凍りついていてさ、そのまま帰ろうとしたから後ろから刺してしまった」 「さすがにヤバイっすよ、大学の友人を殺すのは。ロメ郎さんの部屋に来る前に、他の人に話していたらどうするんですか、ここに行くって」 「マズイね。非常にマズイ・・・・・・もったいないけど、2遺体まとめてカーニバルに提供するしかないかもな。あそこに出してしまえば死体だけじゃなくて、法的な後始末も請け負ってくれる」 「殺人を揉み消せるんですか?」 「カーニバルの会員には警察も含まれているからね」 「すごいっすね」 「ああ・・・・・・でも、やっぱりもったいない。2つも出す必要なんて無いのに。とりあえずスーツケースに死体を押し込もうか」  ロメ郎は一人暮らしなのに、ハードタイプとソフトタイプの2つのスーツケースを所有していた。死んで間もない遺体を胎児のような姿勢にしてからスーツケースの中に押し込み、二人がかりで体重を乗せてようやくカギをかけた。 「2人で一緒に会場に行く訳にはいかないからさ、シモン君がスーツケースを2つ持って会場に行ってね。俺は後ろを付いていくからさ」
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