3章

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 浪人生という肩身の狭いポジションこそが僕に向いていたのかもしれない。志望校に合格することはできた。人生初の彼女を作ることにも成功した。あとは有名企業に就職さえしてしまえば上がりだと思っていた。  一体どこのクソ野郎だ。  僕がカニバであることを学生たちに吹聴しているのは。  噂はあっという間に拡散。彼女から別れを一方的に告げられた。電話番号さえも変更する念の入れようだ。ゼミの仲間たちは僕を飲みに誘わなくなり、学生食堂にいくと誰も同じテーブルに座ってくれない。築き上げてきた人生プランは脆くも崩れてしまった。僕の進路は迷いの連続になっていた。ゴールを作り忘れた迷路の中に飛び込んでしまったみたいに。  今年に入ってからというもの、カニバを取り巻く環境は大きく変化した。それもそのはず、去年までのカニバは死んだ際に体が痙攣するという不思議な現象によって、世の人々を混乱に陥れていたが、今年はそれが更に進化していた。  もはや痙攣などではなく、手足をバタつかせるレベルにまで変化しているのだ。瞳孔が開いたまま目を見開き、呼吸をしていないのに口をパクパクさせる。 「死んだ時に歩きだすのは時間の問題である」専門家は口を揃えてそう言った。
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