3章

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 現在カニバは大きく3つに分類される。  犯罪に手を染めてでも新鮮で上質な人肉を手に入れようとする過激派。  国から支給されるクソまずい人肉で欲望を満たす中立派。  そして人肉そのものを断つ穏健派だ。  カーニバルで知り合った謎の女であるシャーリーは、今もバルバリの過激派だ。ブローカーとして名を馳せ、巨大なシンジケートを作っている。上層部はほとんど女で占められていると聞く。彼女達は女の武器を最大限利用して法律をすり抜けているのだ。旨い人肉を確保しようと思ったら、まず彼女たちを通さなければいけない。  穏健派のために、カークという名の施設が全国各地に作られた。カニバを更生するための公営施設である。無料でリハビリを受けることが可能だ。毎日のようにカウンセリングを受けなければならない。数人のグループを作り、カウンセラーの指導の元、他人の長話に耳を傾ける。  かなり面倒くさいのだが、僕はカークに行くことを決めた。もう人肉を食べる生活から脱却したかった。指先が震え始めていることが決断を後押しした。このままだと廃人一直線。今なら死んでも寝返りをうつかもしれない。
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