3章

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「相談ならさっきカウンセラーと嫌になるくらいしましたよ」僕は眉をしかめた。 「もっと良い話よ。バイトしない?」 「・・・・・・確実に危ないバイトでしょ」 「一回やってくれたら1000万円払うわ」 「殺しですか?」 「よく解ったわね」シャーリーはわざとらしく驚いた表情を作っていた。 「僕はもう、そういうことはやりませんから」 「今はカニバがカニバを殺して食べる時代なのよ。理由としては味が1番なんだけど、世間的にもいいわけ。仲間割れの方が」 「やらないもんは、やりません!」 「私の組織は女ばかりだからさ、男の力を借りたいのよ。最近、私たちのシマを荒らす奴がいるから、そいつを始末して欲しいの」 「競争原理が働いていいじゃないですか。良い肉を安く売れば勝てますよ。邪魔な相手をそうやって力でねじ伏せようとするのは駄目ですよ」 「2000万なら、どう?」 「・・・・・・」僕はすぐに断ることができなくなっていた。 「カニバであることが世間にバレてしまったら、どうせ就職なんてできないわよ。稼げるうちに稼いでおいたほうがいいわよ」 「大学に広めたのは、あんたなのか?」僕はシャーリーを睨みつけた。 「なんのことかしら? 一般論として言っただけだけど。まあとにかく、私たちと手を組んでお金を稼いだほうがいいと思うけどな?。ちなみにジャーキーにする原料のカニバを調達してきてくれたら、私たちは一人あたり100万払うわ」 「そんなにカニバを殺しても、肉を買うのもカニバなんだから、駄目でしょ。すぐに行き詰まりますよ」 「だから昨日言ったでしょ。このジャーキーを食べたら普通の人がカニバになってしまうって」 「メチャクチャだな、あんた・・・・・・」 「どうするの? やるか、やらないか、教えて」  シャーリーは恋人同士なら確実にキスをするような距離に顔を近づけてきた。
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