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「あいつ変体した! 逃げないとマズイ!」オーナーは聞きなれない言葉を口にした。
「ヘンタイってなんだ?」
「お前、知らないのか? 最近のカニバは死んでも蘇るんだよ! 殺す時はちゃんと頭を切り落とさないと駄目なんだ! ああなったら手が付けられんぞ」
支配人はゆっくりと立ち上がると、血溜まりの上で足音を立てながら近づいてきた。唇は紫色に変色し、まばたきをしなくなった目は赤く充血していた。
僕は間に挟まれていた。支配人と向き合えばオーナーに背を向けることになる。
とりあえず厨房の中を反時計回りに移動すると、オーナーは磁石のように僕と距離を保ちながら移動していた。時計でいうなら、3時の方向が僕で、6時が支配人、そして9時がオーナーだった。これで条件は一緒である。支配人が厨房を時計回りに進めばオーナーと対面するし、逆なら僕とバトルだ。
「協力して倒そう」オーナーは、またしても提案を持ちかけてきた。
「うるせーよ、なんでお前なんかと協力しないといけねーんだよ」
「おい、金子! あいつを殺せ!」オーナーは支配人の名前を呼んで命令したが、返答はない。
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