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「ちょっと!」シャーリーは目を見開きながら、軽やかに身をかわした。
「なんだ、あんたか」
「あんたかじゃないって! 遅いから心配で見に来たのに・・・・・・てゆーかさ、返り血浴びすぎでしょ」
僕とシャーリーが外に停めてあった車に戻ると、その後ろに停車してあったワゴン車から、ぞろぞろと引越し屋風の作業服を着た女たちが降りて、ビルに入っていった。それぞれ手には道具がぶら下がっていた。
「あの子たちは死体を回収する係よ」シャーリーは目を細めながら言った。
「回収作業が終わるまで、僕はここで待機なんですか?」
「もしかしたら他のホストが店に入っていく可能性もあるから」
「血が固まってきて、体が痒くなってきたんですけど」
「もう少し、我慢して」
数分足らずで女たちは戻ってきた。笑顔で会話をしている者までいた。彼女たちの1人は、ダンボールの箱が積まれた台車を押していた。わずかに揺れているその箱を僕が見届けていると、「さあ、帰るよ」とシャーリーはつぶやいて車を発進させた。
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