4章

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 工場の奥に案内されると、床が巨大な生けすになっていた。3メートル程度の深さだ。水は張られていなく、覗き込むと首を切断された十数体のカニバが底を這っていた。 「君たちはとっくに知ってると思うけど、ひとつの死体は、およそ30人分の1日の食事になります。この刑務所には1000人の囚人がいるため、1日に30人以上の死体が必要となるわけです。毎日船に乗って30人前後のカニバがこの島に送り込まれてくるから、まあちょうどいいくらいの配分なわけです」  おっさんは僕たちを横目で睨みつけながら、話を続けた。 「別にこの生けすの中に、君たち新人を落としたりはしませんよ・・・・・・以前はやってましたけどね。場馴れした奴が考えそうなことでしょ。古いパートのおばさんが新人の可愛いアルバイトの女の子をイジメてやめさせるようなものです。自分のポジションを確保するためにね」おっさんは脂ぎった髪の毛を掻き上げると、指の匂いを嗅いでいた。
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