4章

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「なぜ止めたんですか?」僕は口を開いた。 「割に合わなくなったからです。30人程度の新人をきっちり殺せるならいいのですが、中には強い新人もいる。そいつが大暴れして、古参のカニバを返り討ちにしたんですよ。結局100人以上が死にました。そしてその新人が島のルールを作ったんです。革命ですよ」おっさんはズレたメガネを中指で直した。 「どんなルールですか?」 「君たちはこれから、自分の番号が書かれた札を5枚渡されます。その札を箱の中に投じて無作為に抽選するんです。1000人の中から60人を選び出して、30組のペアを作ります。そして互いに殺し合うんです。つまり毎日少なくとも30人の死体が生まれるわけです。それがみんなの食事になるんです」 「・・・・・・なるほど」 「毎晩行われるこの戦いを、ここではディナーショーと呼んでいます。ちなみに札を箱に入れる際に2枚投じたら、2階の部屋に行けます。3枚なら3階の部屋。そして5枚入れたら最上階の個室です」 「クジで当たる可能性を高くすればするほど、優遇されるということですか」僕の顔から思わず笑みがこぼれていた。 「そういうことです。力に自信のある人は、今日から5階の個室に住むこともできますよ」 「面白いシステムですね。この生けすにいるカニバは、戦いに敗れた人たちってことですか」 「そうです。最初の頃のカニバは死んでもこんなには動かなかったんですけど、最近は暴れるから大変ですよ。今はルールが変更されて、相手の頭部を切断したら決着です。でもやっぱり相打ちになることが多くなりましたね。一度倒したはずなのに、ゾンビ化したカニバにやられるってパターンです。まあ見てる分には面白いんですけどね。相打ちになればメシをたらふく食えるし」
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