4章

12/40
前へ
/110ページ
次へ
 僕は胸を躍らせながら他の新人カニバたちを見た。ほとんどが顔面蒼白。きっとカーニバルにも参加したこともないような、軟弱なカニバばかりなのだろう。花屋でクソまずいババアの死肉を買うようなレベルなのだ。 「君はずいぶんと自信があるみたいですね」おっさんは僕を指差した。 「殺しは、慣れているんで」 「本土にいた時は、カーニバルとかに参加してたんですか?」 「はい」 「なるほど。それは楽しみだ」 「ちなみにおっさんは、何階で暮らしているんですか?」僕はさらに質問した。 「私は3階です。こう見えても昔は合気道の師範代だったんですよ」 「え・・・・・・」それを聞いて、僕の自信はいとも簡単に吹き飛んでしまった。  金髪の男を簡単にねじ伏せる実力があるのに、ここでは真ん中のレベルなのだ。混浴の温泉に浸かる直前に、陰毛を全て剃り落とされてしまったかのような喪失感だった。 「別に階と強さが比例してるわけではないですよ」 「・・・・・・でも」 「私には3階くらいがちょうどいいだけです。3人部屋なんで、適度に話し相手がいるんです。1人じゃ寂しいですから。でも4階は避けたほうがいいです。2人部屋はケツを掘られる可能性が高いですよ。そういう趣味があるならいいですけど。それなら5階の個室にしたほうがいいですね」 「2階は?」 「10人くらいの雑居房です。いびきのうるさい奴とか、クサイ奴がいたら最悪です」 「・・・・・・1階は?」 「ホールに雑魚寝です。難民キャンプよりも劣悪ですよ」 「すごい格差」
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加