4章

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 吹き抜けを見上げると、各階には転落防止用の柵があり、その奥には無機質な鉄のドアがズラリと並んでいた。  カニバ達は思い思いの過ごし方をしているみたいだった。廊下に座布団を敷いて花札をしたり、麻雀を楽しむ人たちもいた。  どこからともなく、男2人の太いあえぎ声が聞こえてきた。 「パシャン」という音と共に、僕たちの足元でネズミが破裂した。靴には血が付着していた。 「あのう・・・・・・ネズミが落ちてきたんですけど」僕は吹き抜けを見上げて、犯人を探した。ニヤつきながら覗き込んでる人が多すぎて、誰が犯人だか見当もつかない。男のあえぎ声だけはまだ続いていた。 「気にしないほうがいいよ」加持選手は無感情でそう言ってから、階段を上ったため、僕たちは後に続いた。  5階に到着すると、僕と加持選手以外のカニバ達は息が切れていた。他の階と作りこそ一緒だが、床は綺麗である。上層階のゴミは全て吹き抜けから1階に落としているみたいだった。 「各階には休憩所があるんだ。元々は刑務官が過ごす部屋なんだけどね。そこにダンボールを置いてほしい」加持選手がドアを開けて休憩所に入ると、中には物資が来るのを心待ちにしていたかのように、十数人のカニバが待機していた。
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