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「こんなに早く会えるとは思っていませんでしたよ」僕は照れ笑いを浮かべた。
「・・・・・・武器でも探してるの?」
「一応、素手で戦うよりは、多少なりとも有利かなと思うので」
「ここで武器を見つけるのは、古代遺跡を発掘するよりも難しいよ。バターナイフでさえとっくに持って行かれている」
「そうですよね・・・・・・」
「あえて宝の場所を教えるとするなら、アレだな」
ロメ郎は海の向こうを指差していた。それは海岸から数百メートル先にある岩礁だった。
「さっき髭の人から聞きましたよ。刑務官が海に落とした銃ですよね」
「いや、それとは違うよ。ここからじゃ分かりにくいけど、あそこの岩礁には小さな祠があったらしい。海の安全を願って、誰かが作ったんだろうね。津波の時に壊れたみたいだけど、その祠の中に神具として刀が祀られていたそうなんだ。その刀を手に入れたらいいんじゃないか?」
「無茶ですよ。サメがいるのに。あそこまで行けるわけがない。あるかどうか分からない伝説上の武器のために命は掛けられないです。仮に何らかの方法で行けたとしても、刀なんて錆びついてて使い物にならないですよ」
「まあね」ロメ郎は、やり取りを楽しんでいるみたいだった。
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