4章

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 僕はロメ郎と会話を楽しんだあと、周囲の目を警戒して、別々に刑務所に戻り、階段の踊場で武器を受け取った。  ディナーショーの時間が近づいてくると、刑務所内にいるカニバたちがぞろぞろと1階に集まってきた。男たちの体温によって1階は梅雨みたいなむさ苦しさになっていた。何もしていなくても汗が滲んだ。  武器を所有している者は手入れに余念がなく、僕はというと、ロメ郎から譲り受けた錆びついたバールを握りしめていた。  一緒に船に乗ってきた新人たちは、僕が武器を持っていることを不思議そうな顔で見つめていたが、話しかけてくることは無かった。  いよいよ抽選会が始まった。  番号を呼ばれた者は一人ずつ抽選箱に自分の札を投じていく。何枚の札を投じたのか、みんなに分かるようにしなければいけない。  カニバは約1000人いるため、抽選だけでもかなりの時間が掛かりそうだった。誰がやるのか知らないが、抽選箱に入れた札を本人に戻すのは、骨の折れる作業だろう。  ようやく新人が呼ばれ始めた。  僕の番が回ってくるまで、札を2枚以上投じる新人は1人もいなかった。  そしていよいよ、僕の番。札を1枚、2枚と入れる度に、カニバたちのリアクションは大きくなり、5枚目を投じた時には、拍手すら沸き起こっていた。  僕はレベル5と書かれた紙を渡され、同じ紙を持ったカニバたちの集団の中に誘導された。ロメ郎や加持さんが僕を見て苦笑いしていた。
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