料理の多い誕生日パーティー

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あれから、何日過ぎただろう。 此処は時間を感じさせる物が無いから、時間の感覚が麻痺する。 私とマリの捜索願いは当然出されている筈だ。 まだ此処を見つけられないのか? 私はトイレに行く事も許されないまま、絹江に出される料理を食べ続けて そのまま大も小も、垂れ流し続けた。 最初は、抵抗があった。不快感も半端では無かった。 だが、もう慣れた。 いや、慣れたのではない。極限を味わい感覚が麻痺してしまっているんだ。 多分、フォアグラにされるアヒルはこんな心境なんだろう。 絹江は俺を許す気など無いんだ。最初から、こうやって死ぬまで喰わせ続ける気だったのだ。 マリを最後に一目見たい。 肉体は分からないが、気力的にもうダメだと思った時に また絹江がやって来た。 来た時と変わり、汚れた皿が積まれ腐敗臭の漂うテーブルに 一杯のコーヒーを置いた。 テーブルの皿の上にはウジが湧いている。まるで、ゴミ溜めだ。 持って来た薔薇も枯れ果てて、黒く干からびている。 「さあ、食後のコーヒーよ」 「え?」 私はその言葉に耳を疑った。 確か今、食後と聞こえた。 「何だかんだで16日も掛かったわね」 「今なんて?」 「だから、16日ーー」 「違う! その前だ。もう終わりなのか?」 「ええ。今日で、全て食べ終わったわ。マリちゃんと帰っていいわ」 「本当に、本当に帰してくれるのか!!」 「ええ、約束だもの。警察に行っても良いわよ」 「いや、俺も悪い。無事帰れるなら、君の事は不問にするよ」 「優しのね。ありがとう」 「ヨシ、じゃあ約束通りマリを返してくれ!」 「もう返ってるわよ」 「え? 先に家に帰してくれたのか?」 「いいえ。一切れ残らず、あなたのお腹に」 おしまい
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