0人が本棚に入れています
本棚に追加
2.路地裏
気付けば私は路地裏に立っていた。
違うな、路地裏から公園を見ているようだ。骸骨ビル公園。そんな名前が似合うあばら骨みたいなジャングルジムと直方体のオブジェのある公園だった。
「うげぇ……」
路地裏の地面を織りなす色鮮やかな吐瀉物たちを踏みつけないようにけん、けん、ぱ。紺のプリーツスカートを押さえながら。なんでこんなところにいるのか、言及する声が聞こえたけれど理由なんてきっとない。これまでも、これからも。
骸骨ビル公園の反対を行くとかなりやつれた人と、やつれていない人と、太った人のパレード。みんな一様にスーツを召して、陰の差した表情からは生気とも死相ともつかぬ秋口頃のセミの死体を彷彿とさせる一種の造形のようなものが見て取れた。
「さて、私はどこへ行くんだったっけ」
ふらふら、街中を歩くとそのうち商店街に出る。安いよ安いよの声、ブルーノートのジャズ、音の中をかいくぐり私は気付く。たぶん、もしかしたら、これはセーラー服かもしれないね、と。
そしてそこから導き出される答えは登校中。あるいは下校中。どちらかであろうとまで推察したところで友人の存在に気付く。マリちゃんに訊けばわかるはず。
最初のコメントを投稿しよう!