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とりあえず思ったことを言っておいた。が、しかしデンジャー電柱の傍らを見るに、そこにはたしかに、右には犬、左には猫が捨てられている。ご丁寧にダンボールなんかに入れられちゃって。
――なにがご丁寧なんだ、クソ。
犬は犬でも、猫は猫でも、子犬と子猫だ。どちらも種類は分からない。それを判断する脳みそのやわっこいところにかさぶたでもできちゃったのか、判別しがたい。子犬、子猫、それだけの概念がダンボールに入っている。ただ、入っている。
「さて――」
「いやいや、分かりましたから。またどうせ同じこと言うんですよね。なんかこういう小説をネットで読んだことありますから――かかちか、めれさんだっけ、とにかく」
猫の概念と犬の概念を両脇に抱えた。
「私はどちらも助けます」
先生の表情が曇った。地上から見上げる黒い積乱雲のようで、宇宙から見下ろす発達した低気圧の様相。それでも逆に私は「してやったり」と思っていた。裏を突いた回答かつ、最善の策――もしもこれが本当に禅問答か何かなら私は一休さんとして後世に名を残すことになろうってな塩梅に。
なお、彼の口から出たある種エクトプラズムのようともとれる白い煙と返答に関しては私も夢の中なのでよくわからない。
「ブー、残念。また明日」
ここら辺は妄想で輪郭を整えたものなので信憑性〈低〉とする。あばよ神崎先生。
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