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再び扉の向こう側に消えようとする彼を
涼子は呼び止めた。
「待って下さい、先生。」
小山は振り返った。
「わたしが署名するまで見ていて下さい。
家を買う時、売り主か買い主の一方が
契約書に署名して席を外すことはない
でしょう? わたしだったら価格を書き
換えるわ。」
小山は再び席に着いた。涼子は署名・押印
した同意書を彼に見せた。
「よろしくお願い致します。」
涼子が頭を下げると彼は同意書を受け
取り部屋を出て行った。
ベッドに戻ると大きなため息が出た。
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