星の指輪 1

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病室の窓からは丘の上の団地がよく見えた。 パジャマに着替えて横たわっていると、 いつの間にか眠っていた。看護師が看護 記録用紙を持って来て起こされたが、 氏名や住所を一通り書き終えるとまた 眠った。 次に目覚めたのは昼食時であった。栄養 部の職員が一人一人患者の名前を確認 しながらベッドまで食事を運ぶ。学食で 使うような蓋付きトレイにプラスチック 製の食器が行儀よく並んでいた。 午後、看護師に詳しい病歴を話し、再び 心電図と心エコー検査を受けた。 一昨日受けたばかりなのに、と思いつつ エレベータを待つ。扉が開くと乗っていた 人間が一瞬戸惑うような表情を見せた。
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