第一話

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(刺激しない方が、いい) ここまで運んでくる間、そして今も野良犬は目を覚ましていない。だが、自分の縄張り以外に連れて来られている以上、無意識に警戒している筈だ。しかも、今は手負いである。何が引き金になるか解らない。 だから彼は客間を出て、玄関から電話をかけることにした。野良犬には贅沢だと言われそうだが、ベッドが客間にしかないのだから仕方ない。 「もしもし……はい、あの……すみません、診察をお願いしたいんですが」
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