拾われし モノ たち

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春臣はそれを黙って見 黙って聞いていた 「おまえのことだから ここまでの説明は ぜんぶ頭に入ってんだろ?」 春臣は小さく頷くと 「ここには 猫の飼い方に関する書物はないのか?」 「書物 ねえ 獣医学的なものならあるけど おまえなら 寧ろそっちのほうがいいかもな それに 今は猫雑誌もいろいろ為になることが 書いてある うちも定期購読してるのがあるから 読んでみるか?」 子猫たちは おなかが満たされ 排泄して すっきりしたのか すやすやと眠っている 優太は 診察室の奥から本を抱えてくると 春臣の前に置いた 「優太 申し訳ないんだが この子猫たちを ひと晩 預かってくれないか 僕は読書に 専念したい」 「そう言うと思ったよ わかった 置いてけよ」 春臣は本を持ってクリニックを出た
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