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「えぇ、存じ上げております。でもお嬢様が言ったのですよ。この誕生日全て。だって明日はエイプリルフールで祝いをしてもらっても嬉しくないと仰せられたの覚えてませんか?」
「あっ……」
私は心の中で思い出しながらつぶやいた。
(そういえば去年、そんなこと言ってたわね。普通に祝ってもらってムカついたから怒ったわ。それで私が棺さん……いえ、直しましょう。執事さんに言ったわ。エイプリルフールに祝ってもらうと嘘みたいで嫌だからその前日にして欲しいって。でも、エイプリルフールの日に誕生日だから嘘のようなサプライズで祝って欲しいなぁ。お金はそんなにかけなくていいからって。つまりこれは晩餐会じゃなくて本当の誕生日だったのね。なるほど、娘とシェフは演技だったのね。本気なわけないわよね)
私は頷いて言う。
「執事さん、シェフさん、そしてその娘さん。ありがとう」
三人は私の言葉を聞いて声を揃えて言う。
「お嬢様、お誕生日おめでとうございます」と。
そして私の誕生日はその後も盛大に祝ってもらった。
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