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(私……両手を使って目隠し取ればいいのかな?でも……執事が銃を持ち構えていたらどうしよう?でもここ日本だし。銃は持っていけないとか何とかなはずだし。いや、トンカチやノコギリだってありえる。なら、いきなり立つ?ダメね……動いてるから転んで倒れた隙を執事が刺す……うん、転ぶのは痛いか。椅子から落ちたにしよう。いやいや、問題はそこじゃない。刺される)
そんなこんなで考えてると執事から声がかかる。
「お嬢様」
「はひゅ!!」
いきなり呼ばれたので変な返事になってしまった。私は間もなく言い直す。
「はい?」
「大変待たせてごめんなさい。到着しました」
私は心の中で思う。
(ここが私の死に場所か?)
「お嬢様、心の準備出来てますよね?」
私はさらに心の中で思う。
(心の準備?やはり私死ぬのね。でも執事に恨み買ったかしら?)
「では、目隠し……を?」
生暖かい両手が私の後頭部目掛けて包まれたかと思うと、手が止まった。
「執事さん?」
「お嬢様、何か泣かしてしまいましたでしょうか?」
私は先ほどまで重かった右手を頬に当てる。
私の頬に一筋の雫が流れる。
そこで私は悟った。
(まずい、殺される。執事は私の涙で自分のやることにバレたと思い、私を目隠ししたまま殺す気だ。ならば目隠しの外を見ておきたい。そのためには……)
私はこう言い放った。
「目隠しを外してくれませんか?」
私は悟った。
(これが最後の言葉になるのだろうか……)
執事は私の目隠しを静かに外した。
私の目に一人の男性の顔ととある光景が映っていた。
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