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その光景は白い布に覆われた大きなテーブルと皿だった。
壁に『お嬢様、誕生日おめでとう』と書いてあった。
私は心の中で悟った。
(やはり私は死ぬのね。これが最後の晩餐会みたいな感じなのか。あぁ、悲しい……けど、嬉しい。何だって誕生日何ですから。それはもう)
「やっと笑ってくれましたね、お嬢様」
執事はそんな私を見てそう言った。
私は心の中で悟った。
(はぁ?私よりもあなたの方が嬉しいでしょうね。だって私が死ねば少しは荷が軽くなるでしょうし。それよりも今日何日だっけ?)
私は執事に聞くことにした。
「今日は何日だっけ?」
「お嬢様、三月三十一日でございます」
「そうだったのね、ありがとう」
聞いた後に私は心の中で悔しく思った。
(私の誕生日、明日なんですけどー。日付間違えるとかひどくないですか、執事さん。いや、棺さんに変えましょうか?)
私はそうイライラしてると暑くなってしまった。
手で軽く仰ぐと棺さんは言う。
「お嬢様、暑いですか?」
「えぇ……」
「では、ケーキを食べましょう」
「その前に飲み物をくださらない?」
「味が分からなくなる……」
「いいから、早く!!」
執事は片手を上げて指を鳴らした。
すると奥の方からシェフが来た。
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