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(私の手で刺してあの世へ。いわゆる自殺か。いや、棺さんの命令ですし。そもそも私はしないわ、そんなこと)
そんなことを思ってると棺さんは付け加える。
「自分の手などを切らないよう気を付けて下さいませ」
私は心の中で思った。
(どういうことだ?……自殺をしてはならない?でも切れって。あっ、普通に考えてケーキよね)
ケーキに包丁を入刀する。しかし……。
(ごめんなさい。そんなに力を込めたつもりないんですけど、包丁先っぽで折れちゃったわ。というかこのケーキ、弾力ある?この感覚……ゴム?まさかね……どうしましょう?)
私があたふたしてると、先ほどのシェフが来て言う。
「お嬢様、大変ごめんなさい。その包丁は古くて壊れやすくケーキはおもちゃでした。今、娘に持って来させますから」
そう言って彼は手招きして彼女を呼び出す。
ケーキと彼女が近づいてくる。
しかし彼女は足をつまずかせてコケた。
彼女の持っていたケーキは逆さになって落ちた。
その上に彼女が倒れ込んだ。
「何やってんだ?お前、包丁で首を切れ!!今すぐ!!恥だ!!」
私は思わずシェフである彼を殴ってしまった。
「あっ……ごめんなさい。つい……」
私はすぐに謝って彼女に言った。手と目元が熱い。いや、体全体が熱い。
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