1.俺と兄と朝

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「兄貴いいぃぃぃー!!!!」 朝から俺の怒声が家に響く。 兄貴の部屋のドアを破壊するような勢いで開け、俺は再び声を上げた。 「俺のパンツ取るなって何回言えば分かんだ!!!」 俺、吹田誠司の兄である誠汰は、極度のブラコンである。 毎朝こりもせず俺の下着を全て抜き取り、自分の部屋の枕に置いているのだ。 つまりは変態。 「誠司!朝から熱烈なモーニングコール?俺も愛してるよぉー!」 短めな茶髪にピアス。 柔らかな目尻と泣きボクロ。 長身で真っ直ぐ伸びた背中は凛々しい。 しかし言っていることはただの変態だ。 「一生寝てろ!!パンツ返せ!」 「一緒に寝ろ!?大胆っ!」 赤面するな気持ち悪い。 俺は無視して枕元に散乱するパンツを集めた。 「ああぁー!俺のラッキーアイテムがぁ」 「そんなラッキーなら捨ててしまえ」 枚数を確認し、喚く兄貴を放置して部屋を出る。 毎朝毎朝、Tシャツやズボン、パンツや靴下に至るまで、兄貴に強奪されていないか確認するのが俺の日課だ。
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