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「兄貴いいぃぃぃー!!!!」
朝から俺の怒声が家に響く。
兄貴の部屋のドアを破壊するような勢いで開け、俺は再び声を上げた。
「俺のパンツ取るなって何回言えば分かんだ!!!」
俺、吹田誠司の兄である誠汰は、極度のブラコンである。
毎朝こりもせず俺の下着を全て抜き取り、自分の部屋の枕に置いているのだ。
つまりは変態。
「誠司!朝から熱烈なモーニングコール?俺も愛してるよぉー!」
短めな茶髪にピアス。
柔らかな目尻と泣きボクロ。
長身で真っ直ぐ伸びた背中は凛々しい。
しかし言っていることはただの変態だ。
「一生寝てろ!!パンツ返せ!」
「一緒に寝ろ!?大胆っ!」
赤面するな気持ち悪い。
俺は無視して枕元に散乱するパンツを集めた。
「ああぁー!俺のラッキーアイテムがぁ」
「そんなラッキーなら捨ててしまえ」
枚数を確認し、喚く兄貴を放置して部屋を出る。
毎朝毎朝、Tシャツやズボン、パンツや靴下に至るまで、兄貴に強奪されていないか確認するのが俺の日課だ。
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