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「秋穂、お疲れ」
「あ、義男くん。お疲れー」
「お前確かこの後講義なかったよな。飯でも行かねえ?」
「うん、行く行く!」
とある大学の教室で筆記用具をリュックに片付けていた女性に声をかける男が一人。
義男(よしお)は暗めの茶髪に右耳に一つだけ黒いピアスをしている少し派手な青年。人好きそうな彼は、大学内での知り合いも多く、人気者。
声をかけられた女性はその義男の恋人、秋穂(あきほ)である。背中まである艶やかな黒髪に派手すぎないメイクが清楚な印象を受ける彼女は、一見地味だが、笑うと途端に子供っぽい表情になるところがあり、その変化が義男の心を射止めたのだ。
学食でお気に入りのカレーうどんを啜りながら、義男は視線をちらりと向かいの席でオムライスを頬張る秋穂の足元に向ける。
正確には、秋穂の穿いている黒いタイツを。
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