1輪め

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「はーい」 なんて返事したけどすぐには行かない だってメールはすぐに返しちゃいけないてよく言うし、デートは五分くらい遅れて行かないといけないって私のバイブルに書いてあった 男の子は少し焦らすくらいがちょうどいいのね 私はその教えに従って少しだけゆっくり出るけど、息を切らしている演出は忘れない 「はぁはぁ、ゆうちゃん!ごめんね。前髪跳ねてて……」 「おはよう、花ちゃん」 裕樹は笑顔を見せた ゆうちゃん遅刻ぐらいじゃ怒らない ましてや、ゆうちゃんが怒ってるところなんて見たことない 「行こっ」 花は裕樹の腕に自分の腕をさり気なく絡ませた 「ふふっ、前髪気にするなんて花ちゃんは女の子だなぁ」 裕樹は笑う 花は少しだけ俯いた 顔を赤らめてるのがバレてしまわないように 「ゆうちゃんは、少し気にした方がいいと思うよ!!」 そう言って手を伸ばし裕樹の髪をくしゃくしゃにした ゆうちゃんは元は悪くない 背だって高いし性格は初対面でも分かってしまうくらい穏やかさが漏れだしている 顔も色素薄い系の整った顔立ちだし でも気取ってないし、よく笑うから友達いっぱいいる ただ今だって寝癖付いているけど、オシャレに無頓着だ 体育の時の靴下はMAXだしスクールバックは紐が長すぎてブランコみたいに揺れてる 運動できるから体育の時にカッコイイって叫ばれてたけど、彼氏にはね……って言われてるのを聞いたことがある ゆうちゃんはそこが可愛いんだよ!って言ってやろうかと思ったけどゆうちゃんの良さは私が知ってればいい 知ってるのは私だけでいい だから黙っておいた 第一、ゆうちゃんのお嫁さんになるのは私だから!!
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