ACT.1「大崎翔子と斎藤智」

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 出発したR35は赤城道路の坂道を登っていく。  時速60~70㎞/hと普通の車並みにゆっくりした速度だ。  中央にあるR35のオーディオは桑島法子の「私らしく」を歌っている。  智姉さんのR35の内装はレース用にカスタマイズされ、  戦闘力向上のためにロールバーやレース用シート、レース用メーターやマニュアル用6速ミッションが取り付けられている代わりに走りに必要のないリアシート、エアコン、サイドウインドウなどを取り外している。  これらの内装のカスタマイズによってノーマルより遥かに軽い1560kgを達成した。  しかしこんなに軽量化されているのにも関わらずオーディオは残されている。  音楽を聴くために残しているようだ。 「智姉さんとドライブするなんて――なんだかデートみたいです」  こんな気分、ワクワク物だ。  ワクワクして顔が紅くなってしまう……。 「そう言われると……私も照れる。  私も――オオサキとドライブできて嬉しい」  オオサキの言葉を聞いて嬉しくなるあまり、智も顔を赤くする。  智が聞いていたのはオオサキの言葉だけではない。 「いい曲です。  智姉さんが好きな桑島法子さんの曲を掛けながらドライブするのも良いことだと思います」 「私は桑島さんの声が大好きだ。すごい癒される声だ」  オーディオから流れる桑島法子の曲も聞いている。  智姉さんは、曲を歌っている声優の桑島法子の大ファンで、特にこの曲を聴くことが大好きだ。  もちろん声も好きらしく、「綺麗な声」と評している。
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