第四話 才能授かり、非凡になれる神社

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…どうか今度のコンテスト、絶対に優秀賞以上が取れますように! 神奈川県〇〇市〇〇ー〇、〇号室、三杉乃梨子…     ただ、必死だった。   願い事を唱えながら何故か背筋がゾクゾクし、 言い知れない恐怖を感じた。   もう、乃梨子は神でも悪魔でも何でも良い。     自分の願いさえ叶えてくれるなら。 と思った。 深々と一礼し、神社を後にする。 鳥居で神社を振り返り、一礼してそのまま帰路についた。 一か月後…。 三か月前に応募していたあるコンテストが、 優秀賞を受賞した、と連絡が来た。 神社の御利益の凄まじさを体感した瞬間だった。 その日を境に、 応募した小説は何かしら賞が取れるようになった。 最初は嬉しかった。           ただ嬉しかった。  これで、漸く仲間に追いつけたような気がして…。 でも最近、仲間はよそよそしい。 それはそうだろう。 …なんであの子ばっかり? あんな駄作より自分の方が優れてるのに!… と思われているのは明白だ。 そう思われても仕方がないと思う。 なぜなら、乃梨子自身もそう感じていたから。 つまり、通常ではありえない受賞を、 神の力で受賞可能にしたのだ。 あれほど切望していた事が叶った筈なのに、 乃梨子は虚しかった。     空虚感が日々募っていく…。 それから約半年後のある日…  「今日昼過ぎ、東京B市のアパートで      三杉乃梨子さん(32歳)の遺体が見つかりました。   警察の発表によりますと、 遺体には争ったような形跡は皆無。      しかし 何か非常にショックな出来事があったとみられ、 死因は『ショック死』との事。現在詳しく調査中との事です。 尚、乃梨子さんの知人によりますと、 最近小説で賞を取ったりする事が立て続いていて、 波に乗っているようだった、というお話でした」 さて、諸君。 以上の出来事を鑑みて、いかがだろうか?       その神社には何が祀られているのか? そもそも何の目的で建てられたのか?      乃梨子の願いを叶えた存在とは…。       彼女は何故『ショック死』したのか?             何を見たのか?       心臓を止める程、何に驚いたのか?
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