第四話 才能授かり、非凡になれる神社

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第四話 才能授かり、非凡になれる神社

その神社は、お金では買えないもの、 誰もが貰えるものなら欲しがるであろうものを 授けてくれると言う。 それは「才能」。 こればかりはお金では買えない。 もしかしたら、 未来は買えるようになるのかもしれないが。 血の滲むような努力をし、ある一定の線まで行けても、 最後の最後の高見まで上り詰めるには、 悲しいかなこの持って生まれた「才能」のある人には叶わない。 よほどの強運の持ち主なら話は別だが。 芸能系、芸術系、水商売系、文芸系… 何にでも言える事だが、上記の4点は特に著しいであろう。 乃梨子は幼い頃からお話を創って書く事が好きで、 大学を卒業して社会人になった今もずっと小説家を目指してきた。 だが、予想以上に現実は厳しかった。 今、ネット小説がで作家を目指す事が大人気な為、 選抜する側にしたら人選には全く困らない。 よって当然の事ながら、 著しく「非凡」の力が必要とされるのだ。      乃梨子は焦っていた。 同時期にネット小説を始めた仲間達が、      何かしら受賞していくのを目の当たりにして   自分は平凡である、 という事実を受け入れ難くて、  色々書いた         書いた               書いた…只管書いた。       小説の書き方講座にも足を運び、           散々足掻いた。     足掻いた挙句、 つき付けられたのは            自分は「平凡」であるという現実…。 そんな時たまたま、深夜のテレビで 「絶対!願いが叶う神社特集」 を見かけた。 中でも「才能授かり、非凡になれる神社」 に惹き付けられた。 自宅から3時間程でいける場所だ。 世界的に有名なあのバレエダンサーの一樹も、 女優の紗那も、 小説家の御花も、 それまでは鳴かず飛ばずだったが、 この神社に参拝してから、 いきなり各賞を総なめするようになったと言う。 居ても立っても居られず、 仕事が休みの日にはもうその神社に来ていた。 神様にまず一礼する。 ジャランジャランジャラン 鈴を強めに鳴らす。 末広がり・無限大を意味する8そして 安定の4をかけて 8888円を賽銭箱に丁寧に入れる。 二回深くお辞儀をする。
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