第三話 不可能を可能にする神社

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第三話 不可能を可能にする神社

その神社は、立て続けに66日お参りすると、 不可能だった現実を可能にしてくれるという。 モデルのNOZOMIは、 今度のオーディションに懸けていた。 自宅から神社まで約10キロ。 ダイエットも兼ねて毎朝4時に起き、 ジョギングで通い詰めた。 …どうかお願いします。 オーディションに受かりますように。 私はこれを足掛かりに、世界へ羽ばたきたいんです! 雨の日は合羽を身に着けて走った。 …必死だった。     整形もした。        ダイエットもした。          でも、足の長さを変える事は不可能だった。 到底、自分ではどんなに努力しても 合格はあり得ないと分かっていたから。 66日間参りも今日でラスト…。 一心不乱にお願いしながら、          なんとなく、願いが叶う。   そんな確信めいた直感が湧いた。          …何故だろう?そんな気がした。 それから一カ月後。 オーディションに合格した。 それから瞬く間に有名雑誌の特集、 テレビ出演、 それは日本だけにはとどまらず、 ついには憧れのパリへ… NOZOMIは今はもう、 知らない人はいないくらいの人気だった。 それはある日突然、   想いもよらぬ形でやってきた。         NOZOMI脱税!!      愛人にそそのかされたか?! 某雑誌に大きく書かれてしまう。     それを皮切りに、 あっという間に仕事が無くなった…。   あれほどちやほやしてきた後輩も、         男達も    可愛がってくれていた筈の先輩も、  手の平を返したように背を向けた。 愛人は税理士だった。           彼に金銭管理は任せていた。      彼は妻と必ず離婚するから。           そう約束してくれた。   それから66日後…         NOZOMI自殺か?          病死か??            変死体が見つかる。 その神社は、今も66日参りをする人が後を絶えない。 切実なる願いは確かに叶うらしい。 しかし、願いが叶った後は…。    何故かその末路を知っている人は誰も話したがらない。
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