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賢いようで単純。何がうれしいのか、いつも機嫌よく尻尾を振っていた。
自転車で大学に向かいながら、サクラのことを思い出していると、イメージの重なる人物がいることに気づく。
今日のように晴れていれば自転車で通学をするが、天候が悪い日はバスを使っている。トウマと名乗ったそいつも、同じバス停から同じ大学に通っていた。
きっかけは忘れてしまったが、バス停などで顔を合わせると話すくらいだったのが、今では大学でも話しかけてくるようになった。
全幅の信頼、全開の好意、を寄せられているような気がして、それがそのまま飼い犬だったサクラのイメージにつながった。
明るい髪色も。話しかけてくる勢いも。
愛想がいいとは言えない俺の、なにをそんなに気に入ったのか理解できない。
駐輪場の隣にも桜が咲いていた。
大学構内では新入生と思しき学生たちがそわそわと歩いている。そんな様子を見ているとこちらまで気持ちが浮ついてくるから不思議だ。
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