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はじけた笑い声も、誰かを呼ぶ声も、大学全体が浮ついていた。
「アーマーモーリー」
と、呼ばれているのは俺らしい。
足を止めて声の主を探す。
うれしそうに走ってくる相手を見ながら、改めてサクラに似ていると思った。
どれだけ控えめに考えても好かれている、と思うのだか、トウマは誰に対しても同じなのだろうか。
知り合い程度の俺にこの態度なら、友達にはどれだけだろう。友達がいない俺には未知の世界だ。
「遠くからでもデカイからすぐにわかった!」
息を弾ませて屈託なく言われると、よしよしと頭を撫でてやりたくなる。
サクラの毛並みよりは柔らかいかもしれない。
「走ってくる必要ないだろ、」
遠くで俺を見つけて、わざわざかけよってくるとか、どこの飼い犬だよ。
「ばかだな」
「ば?!」
「トウマって俺のこと好きなわけ?」
深い意味はない。率直な疑問だった。
「…っ、よく真顔でそんなこと言えるな!好きっていうか、なんつーか…」
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