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だがそれでも僕は彼女を愛している。
センスのない料理、決して好みとは言えない体系。
しかしそれすらも許せてしまう魅惑のハーモニーを奏でる彼女に、僕は言わずにはいられなかった。
むしろ今が絶好のチャンスだと思ったんだ。
「ねぇチカちゃん、僕と結婚してくれない?」
「え?……結婚?」
何も迷う事はないはずだ。
彼女も今年で27歳。結婚を意識して当然な年齢ではないか。
しかしその突然のプロポーズに困惑気味な僕の女神は、驚くべき事を口にした。
「……いいわよ。結婚してあげても。でも条件があるの」
「条件?」
「そう。あのね、あなたのそれ……
食べるときにピチャピチャ音立てるクセ、それだけはやめてくれる?」
「は?何言って……ピチャピチャ音立ててるのは、君じゃ……」
「あなたの真似をしてるのよ。本当に気付いてなかったの?
本気で気持ちが悪いからあなたの真似をして教えてあげようと思ったのに、全然気付いてなかったなんて……」
「え?嘘……」
「私、普段こんな音立てないわよ。汚らしい。」
待て、ちょっと待て。普段は音を立てない?
嘘だろ?ということは、僕がクセを直したら……
いや、そうなると話は変わってくるぞ。
「マジか……」
前言撤回!
なんて、そんな事言えるハズもなく……
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