ごめんね、コタロウ

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小学校6年生の春。 我が家に家族が増えた。小さなそれは大変に愛嬌があり、私の両親の心は一瞬で奪われた。 その日、家に帰ると何とも言えない匂いがしたのを覚えている。甘ったるこいというか何というか。ミルクのせいだったのだろうか。 名前は、コタロウ。 自分の愛くるしさをよく知っている彼は、私に対しても愛嬌をふりまいた。とにかく、行くとこ行くとこ着いて来る。 早めの思春期に突入し、何でもかんでもイライラしている私にとっては、それが苦痛で仕方がなかった。 何より、コタロウは両親のハートをわしづかみにした。私にとっては敵だ。
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