第1章 モーツァルトはスパイ?

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黄色が、腕時計を見ながら。 「先生の、モーツァルト死因説を 教えてください」 「それはズバリ暗殺でしょう、毒を 盛られての暗殺ですが、容疑者は マリアテレジアです。 「しかし、彼女は既に1780年に逝去 していますが」 「これはマリアテレジアの遺言なのです、 なぜならモーツァルト親子をスパイと 見抜けなかったハプスブルク帝国、 女帝としての自尊心が深く傷ついた 結果ではないかと」 アマデウスモーツァルト暗殺は、女帝の 遺言によって決行されたのではないか。 モーツァルトにレクイエムを作らせた 貴族は、女帝の遺言意思を持ったスパイ だったのかもしれません。 「そのスパイが、暗殺者だったと?」 黄色の問いに、頷く山岸。 そして、更に女帝の呪いは続く。 妻コンスタンツェの姿は無く、葬儀に 参列したのは弟子のジュスマイヤー 1人だけ。 墓は罪人と同じ3等墓地に放り込ま れた挙句、彼の遺骨はまだ発見 されてはいない。 「モーツァルトを毒殺したのはサリエリが 有名ですが、文献では彼とモーツァルトの 関係は良好だった事が分かっています。 しかし、噂だけがひとり歩きした為に、 苦しめられたサリエリの晩年は、1825年に 精神病院内での自害という結果になって しまいました」
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