第二章 立てこもり

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すると何秒かして、中からコツンコツンという乾いた音が聞こえた。 雄二は気が動転し、声がスカスカになって出なくなった。それから一分もしないうちに、中から「バリバリッ!」と言う大きな音がした。それは壁を無理矢理引きはがしたような、強烈な音だった。雄二はその途端硬直した。全くもって気の小さい男であった。 そうして次の瞬間、中で何かがザ、ザザーッと移動する音がした。 …やがて音は止み、静けさがもどって来た。 「ハァアーッ…」 雄二はその場にへたり込んだ。
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